~ 命を繋ぐ母本選別・一穂に込める祈り ~
近年の気候変動は、私たちの暮らしに様々な影響を及ぼしています。
季節の移ろいが不安定になり、農作物の育成にも予測の難しさが増しています。
稲もまた、その変化に翻弄されている存在のひとつです。
私が育てている「朝日」は、約90年にわたり自家採種を続けてきた在来種です。
農薬や化学肥料に頼らず、自然の力と人に手で命を繋いできたこのお米は、きっと不純物の少ない澄んだ味わいを持っていることでしょう。
しかし、2024年度は、異常な高温の影響で種子が傷ついた恐れがあり、本年度は通常の栽培はみおくり、2026度の種子用のわずかな面積だけでの栽培となりました。
ありがたいことに順調に育ってくれました。
その中から、未来へと命をつなぐ「良い種子」を選び出す作業が、母本選別です。
長い穂を目安に、一本一本を見極めていくこの作業は、見た目には地味な作業かもしれません。
母本選別は、祈りにも似た静かな手仕事です。選ぶのは、ただの穂ではなく、希望です。
先人たちが守り続けてきた命のバトンを、次の世代へと渡すために。
その手のひらには、90年の歴史と、これからの希望が宿っています。
気候が不安定な今だからこそ、こうした営みの意味を改めて見つめなおしたいと思います。自然と向き合い、命を思い、未来を育てる。
母本選別は、そんな「人を思う心」の象徴なのかも知れません。
おがた健康農園
