お米が皆様に届くまで

『準備編』 
米作りの始まりは4月第二第三第四日曜日に行われる用水路の清掃から始まります。
全農家で刈払い機やスコップなどを持ち長い用水路の草刈りや土砂 ごみ等を取り除く
ことから始まります

①4月 種もみの準備 選別の様子



自家採種されたままの種もみには写真のように「芒」と
言う稲のきっさきが付いています
この芒 種蒔きに邪魔になります





この芒を取り除き 大きい種を選別する機械が上の脱ぼう機です

まず上のホッパーに種もみを入れると中で選り分けられ
芒と小さい籾は横から 大きい籾は正面の口から出てきます

大きい籾だけを種子として使用します

自家採種は重要で自然栽培の基本です
採種を重ねるに従い種子の中に残留する肥毒が無くなって来ます
数年かかります



②5月中旬 苗代の準備



苗代は毎年決まった田んぼです
ここに苗箱を置きます、高低差が無いよう水平に
均します
最後の仕上げは手作業です




③5月中旬 温湯種子消毒
無肥料自然栽培では農薬を使えません
右の機械で60℃のお湯で10分間浸水し病害菌を殺菌します、




温暖化によりウイルスが活発化しています
昨年導入し大きな効果を発揮してくれました


④熱くなった種もみを水で冷やす
種籾が煮えないよう急いで行う作業です

慎重と迅速な作業を求められます

失敗したら終わりです

⑤次にこの種籾を4日間水に漬けます 
風通しがよく涼しいが場所が最適です



種籾は発芽の準備を始め 酵素を出し水は濁ります
毎日水を変え 消費された酸素を補給し 満遍なく 
行き渡るように気を使いながらの作業です

この一連の作業はとても重要な作業です 

近年温暖化による高温化でウイルスが活発になっています
眼に見えないウイルス 農薬を使用しないので発生したら手の打ちようがありません



(一般農法ではこの段階で一回目の農薬を使用します
乾いた種籾を消毒液に漬け殺菌します 
    当然種子の中まで液の浸透が予想されます
消毒液に漬けるだけですから簡単です)
(見方を変えると薬品の毒性の強さがわかります)

4日間浸水した種籾
水を十分に含み膨らんだ種籾 
中には根っこが出ているものも有ります





⑥水から揚げ水分を切り種籾を乾燥させる


⑦種蒔き
水分を切り種籾がさらさら状態がベスト
むらなく蒔けます
一つの苗箱に100g~120g程蒔きます



播種機による種蒔きの様子
4~5人の人手が必用です



使用する土は深い地層の赤土です、小石など除いて乾燥させて
あります 雑草の種子など有りません

(一般農法はこの土に化学肥料を混ぜて使用しています)

⑧翌日 苗代に移します
種籾の作業は最後まで慎重を求められます
作業員は毎年手伝ってくれるベテランばかり



有り難い仲間です 感謝 感謝

黒い不織布で覆ったら一連の作業は
終わりです

2~3日内に一斉に発芽します



これから一ヶ月間 毎朝水を入れ種籾に
適度の水分を補給します

不織布で覆うと光が抑制され苗の節が
伸び田植えしやすい苗になります

⑨成長の様子を観察しタイミング良く
不織布を剥ぐと緑色の苗が現れます
奇麗な苗に成長してくれました



感動するような鮮やかな緑色です

田植えまで後一週間ほどです
光を当て苗を硬化させます




『田植え編』 


⑩6月中旬
いよいよ田植えの始まりです
田んぼにたっぷり水を張り代かきハローで
トロトロの土にします



⑪いざ田植え
人員は3名
10アール(約300坪)に20枚程の苗箱を使用します
最近の田植え機は性能がよくなりスピードが速く
苗補給が大忙し
田植えは重労働で10日間程で体重が5キロ減り
苛酷さが判ります



(一般農法では第二回目の農薬を使用  田植え時に苗箱に
農薬をまき害虫の予防をします・後々まで効果が続くようです)
田植え直後の苗



小さくひ弱な苗ですね、今日から独り立ちです

元気に大きく育ってね…祈らずにはいられません



(一般農法では田植え直後に除草剤を使用します
三回目の農薬です・ほんの数分で広い面積の除草が出来るので
大きなコスト削減になります)
(農水省は国際競争力を強化するためコスト削減し大規模化を 
後押ししています  コスト削減を支えるのは農薬と大型機械です
健康の事など配慮しない場当たり的な政策ですね)

無肥料栽培では初期生育が遅く気をもむことが多々
あります
それでも20日目を過ぎっるころから成長が活発になり
分ケツし稲の本数が日増しに増えます

⑫田植えが終わると水管理が重要な作業になります
早朝水口を開け 入ったら閉める
この作業を毎日行います



天気のいい日の水温は40℃以上にもなります
お風呂の温度と同じです
この環境を稲は好みグングン成長します

水が冷たいと稲の成長が極端に悪くなります

この水管理次第で収量が決まります
7月下旬まで毎日続きます


ジャンボ田螺です



雑草の芽を食べて除草の手伝いをしてくれる
有り難い生き物です
除草のスペシャリストです

広く西日本に分布し食欲大勢で時々
田植え直後の苗まで食べるので害虫に
なっています

(一般農法では穂が出る前の8月中旬に四回目の
農薬散布が行われます )
(無肥料自然栽培は何故農薬が要らないのか…
不思議ですね この疑問には後ほどお答えします)



8月下旬一斉に穂が出ました
稲刈りまであと40日ほどです

⑬穂が出てくると寄ってくる厄介な生き物が
います 雀です



雀の食害は放置しておくと大変な量になります
大軍で押し掛けると100キロほど食べてしまう
ことも有ります
予防に風になびきキラキラ光る赤銀テープを
田んぼの周囲に張り廻らします
雀は警戒して寄り付かなくなります

⑭恥ずかしい写真です
除草に失敗しました



稗があちらこちらに生えてきました。
この稗 後半になって急成長し稲より
大きくなります

種が落ちると来年が大変です
全て取り出します
尖った葉で眼を刺さないよう作業メガネを掛け
草負けしないよ長袖を着ての作業です
暑い 汚れる 濡れる ぬかるんだ田んぼ
から出すのは一苦労です

除草剤を使う農法はこんな苦労は有りません

⑮待望の稲刈です



⑯この後籾の乾燥
⑰籾すり
⑱石抜き
⑲精米
⑳色彩選別
と続き10月中旬には皆さんのお宅に新米が
届けられます


米作りは気象の変化など予測出来ないことも多々あり経験が要求されます、
無肥料自然栽培はマニュアル通りに行きません、今まで多くの失敗重ねてきました


もうひとつとても重要な事があります
それは植物に語りかけることです、それによりお米は一味違うお米になるようです
言葉や足手を持たない稲ですが魂を持っているようです
けして物質だけではないようです

現代は全てにわたり眼に見えるハードを重要視すぎる傾向にあります
しかし無肥料自然栽培ほど眼に見えないソフト面が重要な農法は他に有りません



稲が一番嫌うこと  それは生産者の私利私欲のようです、